メールだけの友情,メールだけの恋愛,メールだけの仕事,メールだけの勉強,メールだけのヤジ,メールだけの親愛,メールだけのセックス,メールだけの…,なんでもある。
IDC社は,個人間のメールのやり取り,スパムメール,通知メールの急増により,1日あたりの世界の電子メール数は2002年の310億通から,2006年には600億通へと増加すると発表した。スパムメール対策のためのフィルタ機能の導入が望まれている。
まだ,電子メールが1通もやり取りされていなかった時代。それからわずかな年月で,1日に600億通になる。そこにどんな変化を読み取れる? 私たちは数年前に比べて600億倍のコミュニケーション能力を身に付けた? いや,大切な,人と人を結んでいた言葉が600億分の1の価値しかなくなったの?
いや違うな。1日に百万語を語り尽くす饒舌家と,一言もしゃべることがない無口な人が,実は同じことを考え,同じ量の思いを抱いている,ということはあり得る。量はたいした意味など持たず,何に使うのか? が焦点なのだろう。だがそう考えると,テキストメールはスパムという意味のないやり取りの増加で破綻する。そして別の,より直接的なコミュニケーション手段が生まれる。みつめることができる,嗅ぐことができる,触れることができる,抱きしめることができる,そんなメールが,当然のこととして生まれる。
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